「グレンリベットやグレンフィディックは飲んだ。次は、もっと『個性』が強いものを知りたい」
そう思い始めたあなたは、もう立派なウイスキー沼の入り口に立っています。シングルモルトの真髄は、その蒸留所が持つ「強烈な個性」にあります。
しかし、2026年現在のウイスキー市場は値上がりが激しく、かつての「安くて良いもの」が1万円近くすることも珍しくありません。そこで今回は、5,000円前後で買える、個性が際立った銘柄7選を厳選しました!
これを飲めば、あなたのウイスキーの世界地図が一気に広がります。


ケン
・元バーテンダー|現ITエンジニア
・アイラウイスキー愛好家
・年間ウイスキー消費量は100杯以上


\500mlあたり約20円!/
5,000円前後のおすすめウイスキー10選
1.【海の男のウイスキー】タリスカー10年


「タリスカー10年」は、スコットランド北西部に位置するスカイ島で造られる、力強いシングルモルトウイスキーです。「ミスト・アイランド(霧の島)」と呼ばれる厳しい自然環境の中で、1830年の創業以来、海と共に歩んできた歴史を持ちます。
その味わいは、まさに荒波が打ち寄せる海岸での焚き火のよう。口に含んだ瞬間に弾ける黒コショウのようなスパイシーさと、潮風を思わせる塩気が最大の特徴です。さらに、焚き火の煙のようなスモーキーさの奥には、完熟したリンゴのようなフルーティーな甘みが隠れており、非常に重厚で飲み応えのある一杯に仕上がっています。
特におすすめなのが、ハイボールに黒コショウを振りかける「タリスカー スパイシーハイボール」です。肉料理、特にジューシーなステーキや燻製料理との相性は抜群で、食事を引き立てるウイスキーを求める方に最適です。
実は、タリスカーは2025年1月の発表で「3年連続世界No.1のスモーキーシングルモルト」の座に輝いており、名実ともに世界で最も愛されるスモーキーな銘柄となりました。


2. 【シェリー樽熟成の名門】グレンファークラス12年


「グレンファークラス」は、スコットランド・スペイサイド地方に位置し、1865年からグラント家が6代にわたり家族経営を貫く、独立独歩の蒸留所です。「緑の草の生い茂る谷間」を意味する名の通り、自然豊かな環境で伝統的な「ガス直火焚き蒸留」を守り続けています。
「グレンファークラス12年」は、100%オロロソ・シェリー樽で熟成された、まさにシェリー樽ウイスキーの王道です。熟したプラムや蜂蜜、そしてマーマレードのような濃厚な甘みが特徴で、口に含むと「ドライフルーツをたっぷり練り込んだパウンドケーキ」のような重厚さとスパイス感が広がります。
大手資本に属さない職人気質な味わいは、本物志向の愛好家から高く評価されています。特に「マッカラン」などの華やかなシェリー系がお好きな方には、その骨太でリッチな個性をぜひ比較していただきたい一本です。


3. 【アイラの王道】ラフロイグ 10年


「ラフロイグ」は、ウイスキーの聖地アイラ島の南部で1815年に創業された、世界で最も個性的なシングルモルトの一つです。ゲール語で「広い入り江の美しいくぼ地」を意味し、その名の通り潮風をダイレクトに受ける熟成庫でその魂を育んでいます。
最大の魅力は、「正露丸」や「焚き火」に例えられる強烈なスモーキーさとヨード香です。まるで波飛沫のかかる海辺で開けた救急箱のような衝撃がありますが、その奥にはバーボン樽由来のクリーミーな甘みが優しく広がります。
実は、アメリカの禁酒法時代に「この香りは薬だ」と主張して医薬品として輸出を認めさせたという驚きの逸話があります。
唯一無二の刺激を求める方や、アイラモルトの真髄を知りたい方に、ぜひ挑戦していただきたい「アイラの王道」です。


4. 【究極のバランス】ハイランドパーク 12年


「ハイランドパーク」は、スコットランド最北端のオークニー諸島に位置する、1798年創業の歴史ある蒸留所です。「ハイランド」という名がつきますが、実はハイランド地方ではなく「アイランズ(島々)」に分類されます。創業者のマグナス・ユンソンは、昼は教会の聖職者、夜は密造酒造りの名人という二つの顔を持つ伝説的な人物でした。
このウイスキーの最大の特徴は、「ヘザーハニー(ギョリュウモドキの蜂蜜)」と評される甘い香りと、穏やかなスモーキーさの完璧な調和です。アイラ島のウイスキーが「力強い煙」なら、こちらは「海風に揺れる花畑で焚き火をしているような、華やかで優しい芳香」。オレンジの皮やスパイスのニュアンスも加わり、非常に多層的な味わいを楽しめます。
ヘザー(Heather)は、スコットランドのハイランド地方の原野に群生する多年生の常緑低木で、スコットランドの国花のひとつです。夏から秋にかけて赤紫色の花を咲かせ、甘い香りが特徴です。
スモーキーなウイスキーに初めて挑戦する方や、バランスの取れた「究極のオールラウンダー」を探している方に最適です。
実は、ハイランドパークは2025年にかけてボトルデザインを刷新しました。長年親しまれた重厚なバイキング風の装飾から、より洗練されたミニマルなデザインへと生まれ変わりました。
5. 【海のモルト】オールドプルトニー 12年


「オールドプルトニー」は、スコットランド北東部の港町ウィックにあるプルトニー蒸留所で造られるシングルモルトです。1826年の創業当時、ウィックはニシン漁の拠点として栄えており、このウイスキーは過酷な海で働く漁師たちの疲れを癒やす「海のモルト」として愛されてきました。
味わいの最大の特徴は、潮風をたっぷり浴びて熟成されることで生まれる独特の「塩気」です。その風味は、まるで「完熟したリンゴにひとつまみの岩塩を振り、濃厚な蜂蜜をかけたような味わい」。爽やかなシトラスの香りと、後味に続くピリッとしたスパイス感が、北海の力強い波しぶきを連想させます。
スモーキーさは控えめなため、アイラモルトのような煙たさは苦手だけれど、海を感じるウイスキーに挑戦したいという方に最適です。
実は、この特徴的なボトルの形には秘密があります。ボトルの首がぷっくりと膨らんでいるのは、蒸留所にある「スワンネックのない独特な形状のポットスチル」を模しているからです。この一風変わった蒸留器こそが、プルトニー特有のオイルのような滑らかな口当たりを生み出す魔法の源となっています。
6. 【フルーティーの新定番】アラン 10年


「アラン10年」は、アイランズ地方のアラン島、ロックランザ蒸留所で造られるシングルモルトです。
1995年創業と比較的新しい蒸留所ながら、その品質の高さで瞬く間に世界中のファンを虜にしました。アラン島は、スコットランドの地形を凝縮したような美しさから「ミニチュア・スコットランド」とも称されています。
味わいは、まさに「もぎたての果実を詰め込んだバスケット」。レモンやオレンジのような柑橘系の爽やかさに加え、蜂蜜をかけた完熟した桃のようなとろける甘みが口いっぱいに広がります。ピート(泥炭)を一切使っていないため、煙たさはなく、ウイスキー初心者の方でもスルスルと飲めてしまうほどの優しさです。
実は、蒸留所の建設中に絶滅危惧種の「イヌワシ」が巣を作ったため、工事を一時中断したという心温まるエピソードがあります。現在もボトルの肩の部分には、そのイヌワシが誇らしげに刻印されています。
華やかでフルーティーな一杯は、ハイボールにすると香りが一層開き、食前酒としても最適です。
7. 【南国の宝石】カバラン ディスティラリーセレクト No.1


「カバラン」は、台湾北東部の宜蘭(イーラン)にあるカバラン蒸留所で造られる、世界を席巻中のシングルモルトです。2005年、大手飲料メーカー「金車グループ」により、台湾初の本格ウイスキー蒸留所として設立されました。ブランド名は、宜蘭の地をかつて開拓した先住民「クヴァラン族」に由来しています。
味わいは、まさに「完熟したトロピカルフルーツのパレード」。マンゴーやバナナ、パイナップルのような濃厚な黄色い果実味に、バニラやタフィーの甘い余韻が重なります。台湾の亜熱帯気候により、スコットランドの数倍の速さで熟成が進むため、若くても驚くほど滑らかで濃厚な口当たりが楽しめます。
初心者の方や、フルーティーな銘柄がお好きな方に特におすすめです。また、実はこのボトルの直線的なラインは「台北101」タワーをイメージしており、台湾のプライドが詰まったデザインとなっています。2025年の「ベスト・オブ・ザ・ベスト・シングル・モルト・ウイスキー」でもウィナーに輝くなど、今まさに最も勢いのある一本です。
比較表:自分の「好み」はどれ?
以上、個性豊かな7本をご紹介しましたが、気になる銘柄は見つかりましたか?
「結局、自分にはどれが合うんだろう?」と迷ってしまう方のために、各銘柄の特徴を一覧表にまとめました。
今の気分にぴったりの一本を見つける参考にしてみてくださいね。
| 求める刺激 | おすすめ銘柄 | 味わいの傾向 |
| 煙と刺激 | タリスカー / ラフロイグ | スパイシー、スモーキー |
| 甘みとコク | グレンドロナック / カバラン No.1 | 濃厚、熟したフルーツ |
| 爽やかさと果実 | アラン | フルーティー、軽やか |
| バランス重視 | ハイランドパーク / オールドプルトニー | 複雑、リッチ |
まとめ:次に買う1本が「あなたの基準」になる


今回ご紹介した7本は、どれも際立った個性を持つ銘柄ばかりです。まずは直感で1本選び、じっくりとその一杯と向き合ってみてください。
「自分は潮気が好きなんだな」「やっぱりシェリーの甘さが落ち着く」——そんな小さな発見が、将来1万円クラスのボトルを選ぶ際の確かな指針になります。
さあ、あなたは次にどの扉を叩きますか?












