みなさんはスモーキーなウイスキーは好きですか?
スモーキーなウイスキーといえば、スコットランドのアイラ島で造られるアイラウイスキーがその代表格です。アイラウイスキーは、大麦麦芽を乾燥させる際に、アイラ島で豊富に取れるピート(泥炭)を焚くことで生まれる独特のスモーキーな香りが特徴。まるで燻製のような香りと、土や海風を思わせる風味が広がります。
アイラ島のウイスキーは地域によっても異なる個性を持ちます。南部のウイスキーは強烈なピート感があり、北部のものは少し穏やかな印象ですが、どちらもアイラらしいピート香と潮風のような味わいが共通しています。
そんな個性豊かなアイラウイスキーの中でも、「アイラモルトを知るならまずこれを飲め」と言われる銘柄が「ボウモア」。アイラ島の中部に位置するボウモア蒸留所は、南部のラフロイグやアードベッグのようにクセが強すぎず、北部のブルックラディよりも個性的。アイラの力強さを持ちながら、華やかなスイートさやフルーティーさも兼ね備えており、そのバランスの良さから「アイラの女王」と称されることもあります。
今回は、その「アイラの女王」ボウモアを実際に飲んでみた感想をお届けします。ボウモアの魅力を深く知り、あなたの次の一杯選びの参考にしていただければ幸いです。
ボウモアについて


まずはボウモアの歴史や魅力についておおまかに説明します。
ボウモアの歴史
ボウモア(Bowmore)蒸留所は、スコットランドのアイラ島にある最も古い蒸溜所の一つで、アイラ島西部の入江、海抜0mに位置する場所で1779年に設立されました。設立者のデビッド・シンプソンは、地元の大麦とピート(泥炭)を使用した独特の製法でウイスキーを製造し始めました。ボウモアは長い歴史の中で、ヴィクトリア女王やチャーチル首相にも愛されたとされ、アイラモルトの代表格としてその名を広めました。
ボウモア蒸溜所は、海に面しており、その立地からくる海風が熟成に影響を与え、特有の風味を生み出します。また、製麦を業者に委託することがスタンダードになりつつある現在でも、ボウモアは自家製麦芽に拘っています。使用量の約3割は自社の独自のフロアモルティングでまかなっており、ピートを使って自ら麦芽を乾燥させる伝統的な製法を守り続けています。
ボウモア蒸留所では、2003年以降に生産されたスピリッツをすべてシングルモルトウイスキーにのみ使用しており、ブレンデッドウイスキーメーカーや独立系ボトラーに販売されることはありません。ボウモアは、シングルモルトにこだわり、量よりも質を重視したブランドです。
ボウモアの魅力


ボウモアの魅力は、何と言ってもそのバランスの取れたフレーバーにあります。典型的なアイラモルトのスモーキーさを持ちながらも、それが過剰にならず、華やかで甘みのある味わいが特徴です。特に「ボウモア12年」は、アイラウイスキーの入門編としてもぴったり。スモークのアクセントに加えて、柑橘系のフルーツ感やの蜂蜜のような甘みが絶妙に調和しており、そのバランス感覚が多くのウイスキー愛好家を魅了します。
また、もう1つの魅力はボウモアに宿る潮の香りです。ボウモア蒸留所には「No.1 Vaults(第一貯蔵庫)」という創業当時から使われている熟成庫があり、スコッチウイスキーでも最も古い歴史を誇ります。この貯蔵庫はアイラ島の海岸線に迫り出すように建てられ、海抜はなんと0m。荒天の時には海の荒波が貯蔵庫の壁を打ち付け、その影響でボウモアは熟成の過程で潮の香りを自然と吸収し、「海のシングルモルト」ボウモアがつくられます。


ボウモア12年の基本情報


画像引用:https://www.suntory.co.jp/
ブランド | BOWMORE(ボウモア) |
原産地 | スコットランド(アイラ) |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種別 | シングルモルトウイスキー |
熟成樽 | バーボン樽 |
熟成年数 | 12年 |
仕込み水 | ラーガン川 |
製造元 | ボウモア蒸留所(アイラ) |


そんなボウモア蒸留所でつくられる12年熟成のウイスキーが「ボウモア12年」です。ボウモア12年はバーボン樽で12年熟成されたシングルモルトウイスキーです。
香りはヨード香(磯や海の香り)やピート香が強く感じられ、チョコレートやローストした穀物の風味も楽しめます。味わいもヨードの深い味わいがあり、その後ピートがガツンと来ます。また、バニラのような甘みやチョコレートのようなビター感も併せ持っています。
バランスの取れたアイラの特徴を上品に表した一本で、コストパフォーマンスにも優れています。
実際にテイスティング


それでは、実際にボウモア12年をテイスティングしていきます。今回はストレート、ロック、ハイボールの3種類でテイスティングします。
ストレート


まずはストレートでテイスティング。
まずは香りから。潮風のような香りを真っ先に感じます。その後に土のようなスモーキーなピート、またチョコレートのカカオのようなビター感も感じます。
次に味わい。味わいも最初に潮風のような塩味の効いた味わいが強くきます。その後にアイラ独特のピーティさ。また、カカオのビター感や蜂蜜の甘さなども感じ、複雑でコクもあり、バランスに優れています。
ピートとヨードの軽やかな余韻が続きます。
ロック


続いてロックでテイスティング。
ロックにするとピート感とヨード感がかなり抑えられます。カカオのビター感は残り、フルーティさも残ります。
ハイボール


続いてハイボール。
ストレートと比べると、ロックと同様スモーキーさは抑えられますが、甘さとのバランスも取れながら、潮風のような塩味の効いたハイボールでとても美味しいです。


総合評価
「ボウモア12年」の評価


- ピート感とヨード感がしっかりと感じられるアイラモルト
- カカオのビター感やバニラや蜂蜜の甘さ、オレンジのようなフルーティさも持っており、アイラモルトの中でも上品で飲みやすい
- アイラモルトの中では価格が安価
- ラフロイグやアードベッグを好む方にはスモーキーさがやや物足りないかもしれない
テイスティングノート


色
あたたかみのある琥珀色
香り
磯の風味をまず最初に感じる。次に重たすぎないピート香がする。またローストした穀物のような香りもある。あとはチョコレート、オレンジなど。
味わい
ヨードの味わいがとても強い。若干塩味もある。その後に強めのピート。また、バニラのような甘みとチョコレートのようなビター感。
余韻
ヨード感とピート感が長く続く
おすすめの飲み方
飲み方 | おすすめ度 |
---|---|
ストレート | |
ロック | |
ハイボール |
一番のおすすめはストレートです。アルコールの辛さが控えめで、アイラ独特のスモーキーな風味や磯の香りを存分に楽しめるのが魅力です。
また、ハイボールもおすすめで、ボウモアの華やかな甘みと非常にマッチします。加えて、潮風を感じさせる塩味も加わり、より一層の魅力を楽しめます。
ボウモア12年に合う料理・おつまみ


ボウモアに合わせる食事やおつまみとしては、牡蠣やスモークサーモンなどの魚介類や燻製類がおすすめです。ボウモアの潮風を感じる風味やスモーキーさと絶妙にマッチします。
まとめ
今回は、アイラの女王と称されるボウモアのスタンダードモデル「ボウモア12年」をレビューしました。
ボウモア12年は、アイラ特有の土っぽいスモーキーさがありながら、ボウモア蒸留所ならではのヨード感と、女王にふさわしい華やかな甘みを持ち合わせた、非常に複雑でバランスの取れた飲みやすいウイスキーです。
「初めてアイラモルトに挑戦したい」「バランスの良いスモーキーなウイスキーを探している」という方には特におすすめです。ハイボールにもよく合うので、ぜひ試してみてください。
それでは、良いウイスキーライフを。



