古い歴史を持つアイリッシュウイスキー。スコットランドと並ぶウイスキーの発祥地とされ、どちらが先かは今なお明らかではありません。
しかし、確かな歴史があり、すっきりとした味わいが楽しめるのがアイリッシュウイスキーの魅力です。世界5大ウイスキーの中でも特にすっきりとしたクセのない味わいが特徴で、ハイボールとの相性も抜群です。
本記事では、元バーテンダーの私が厳選した、おすすめのアイリッシュウイスキー5選をご紹介します。
アイリッシュウイスキーとは
アイリッシュの定義
アイリッシュウイスキーは、アイルランドで製造されているウイスキーです。アイルランドは南北約500km、東西約300kmの島です。
過去には、スコッチウイスキーは全ウイスキー消費量の約6割を占めていた時代もありましたが、現在はスコッチ、バーボン、ジャパニーズウイスキーと比べるとシェアがやや低めです。
アイリッシュウイスキーはスムースで酒質がライトなため、非常に飲みやすいのが特徴です。香り豊かで穏やかな味わいが多く、癖が少ないため、初心者にもおすすめです。
アイリッシュウイスキーの定義は以下の通りです。
アイリッシュウイスキーの定義 | ・穀物類を原料とする ・麦芽に含まれる酵素により糖化、酵母の働きにより発酵 ・蒸留液から香りと味を引き出せるよう、アルコール度数94.8%以下で蒸留 ・木製の樽に詰める ・アイルランド共和国、または北アイルランドの倉庫で3年以上熟成 |
主な製品の種類 | ・ポットスチルウイスキー ・モルトウイスキー ・グレーンウイスキー ・ブレンデッドウイスキー |
特徴 | ・スムースで酒質はかなりライト ・ピートをほとんど使わない ・未発芽の大麦を使うことがある ・表記が「Whiskey」 |
アイリッシュウイスキーの特徴
それではアイリッシュウイスキーの特徴を説明していきます。
特徴1:伝統的な3回蒸溜によるスムースでライトな酒質
多くのスコッチウイスキーが2回の蒸留を行うのに対し、アイリッシュウイスキーは通常3回蒸留を行います。この追加の蒸留によってアルコール度数がさらに高まり、同時に不純物や雑味が取り除かれるため、非常にクリアでピュアな味わいになります。
3回蒸留によるアイリッシュウイスキーは、雑味が少なく軽やかなため、滑らかな口当たりが特徴です。アルコールの刺激が抑えられることから、ウイスキーに不慣れな人や、重い風味が苦手な人にも飲みやすい印象を与えます。これがアイリッシュウイスキーの「スムースでライトな酒質」として広く親しまれる理由です。
アイリッシュウイスキーは一般的にピート(泥炭)を使わないため、スモーキーな香りが少なく、より穀物やフルーツの香りが前面に出やすいです。3回蒸溜によって軽やかでクリーンな味わいが強調されるため、飲み心地が良く、ハイボールやカクテルにも非常に適しています。
特徴2:主にポットスチル、シングルモルト、グレーン、ブレンデッドを生産
アイリッシュウイスキーの生産スタイルは多様で、主にシングルモルト、グレーン、ポットスチル、そしてブレンデッドの4種類が生産されています。
シングルモルトウイスキーは、単一の蒸溜所で造られたモルトウイスキーのみを使用したもので、大麦麦芽を原料とし、豊かな風味と複雑な香りが特徴です。蒸溜所ごとの個性が強く現れるため、各蒸溜所の特徴やこだわりを楽しむことができます。
グレーンウイスキーは、穀物を主原料とし、連続式蒸溜器を使って造られるため、軽やかでクリアな味わいが特徴です。一般的にはシングルモルトよりも柔らかく、風味が穏やかであるため、ブレンデッドウイスキーのベースとしてよく用いられています。
ポットスチルウイスキーは、アイルランド独自のスタイルであり、大麦麦芽と未発芽の大麦、その他の穀物を組み合わせて伝統的な銅製のポットスチルで蒸留されます。これにより、より濃厚でクリーミーな口当たりが生まれ、スパイシーさとフルーティーさが絶妙に調和した風味が楽しめます。
ポットスチルウイスキーはアイリッシュウイスキーを代表するスタイルのひとつで、アイルランドならではの個性を味わえる希少な種類です。また、「シングルモルト」と同様、単一蒸留所の原酒のみを使用して造られた製品は「シングルポットスチルウイスキー」と呼ばれます。
ブレンデッドウイスキーは、ポットスチル、モルト、グレーンをブレンドしたもので、バランスの取れた味わいと飲みやすさが特徴です。シングルモルトやポットスチルの個性的な風味と、グレーンウイスキーの軽やかな味わいが組み合わされることで、複雑さと滑らかさが融合した奥行きのある味わいを生み出しています。
ブレンド方法に決まりはありませんが、「ポットスチル+グレーン」または「モルト+グレーン」の組み合わせが一般的です。
これらの多様なスタイルを持つアイリッシュウイスキーは、飲む人の好みに合わせて楽しめるのが魅力であり、世界中のウイスキーファンから高い評価を受けています。
おすすめアイリッシュウイスキー5選
それでは、筆者がおすすめするアイリッシュウイスキー5選をご紹介します。
ジェムソン スタンダード
銘柄 | JAMESON(ジェムソン) |
原産地 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種別 | ブレンデッドウイスキー(ポットスチル+グレーン) |
キーモルト | ミドルトン蒸溜所のポットスチル原酒 |
熟成年数 | ノンエイジ |
仕込み水 | ダンガーニー川 |
蒸留所 | ミドルトン蒸溜所 |
希望小売価格(税別) | オープン |
ジェムソンは、1780年にジョン・ジェムソンによってアイルランドのダブリンで設立された、アイリッシュウイスキーの代表的なブランドです。アイリッシュウイスキーは一般的に3回蒸留され、その滑らかな味わいが特徴で、ジェムソンもこの伝統を継承しています。
ジェムソンのボトルには、中央の紋章の上部に帆船が描かれています。これは、ジェムソン家の祖先が海賊との戦いで勝利し、スコットランド王から授けられた紋章を象徴しています。
創業当初のジェムソンは、モルトと未発芽の大麦を使用したポットスチルウイスキーを造り、他のアイリッシュウイスキーとは異なり2回蒸留していました。
しかし現在は、3回蒸留のポットスチルとグレーン原酒をブレンドしたアイリッシュブレンデッドウイスキーを提供しています。
ジェムソンは、手頃な価格とスムースな飲みやすさから非常に人気があり、幅広い層に親しまれています。ブランドのエントリーモデルである「ジェムソン スタンダード」は、滑らかでバランスの取れた味わいが特徴で、アイリッシュウイスキー特有のまろやかさと優しい飲み口を楽しめます。
3回蒸留による非常にスムーズな仕上がりは、初めてウイスキーを飲む人にもおすすめです。そのスムースな味わいから、ハイボールにすれば何杯でも飲めてしまいます。
明るい琥珀色
ほのかなフローラルさに、スパイシーなウッドと甘みを感じる香り。
スパイシー、ナッツ、バニラの香りの絶妙なバランスの中に、シェリーの甘味がほのかに混ざり、すばらしく滑らかな味わい。
スムースで余韻の残るフィニッシュ
ブッシュミルズ シングルモルト10年
銘柄 | BUSHMILLS(ブッシュミルズ) |
原産地 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種別 | シングルモルトウイスキー |
熟成樽 | バーボン樽、オロロソシェリー樽 |
熟成年数 | 10年 |
仕込み水 | ブッシュ川の水源「セント・コロンバの泉」 |
蒸留所 | ブッシュミルズ蒸留所 |
希望小売価格(税別) | 3,950円 |
ブッシュミルズ蒸留所は、北アイルランドのアントリム県に位置し、1608年創業の歴史ある蒸留所です。
アイルランド最古の蒸留所として知られ、長い歴史を背景に培われた伝統と技術を活かしたウイスキーを生み出しています。
特に、アイリッシュウイスキー特有の3回蒸留法を採用し、その滑らかな味わいが世界的に高く評価されています。現在、アイリッシュウイスキー市場で第3位の売上を誇ります。
ブッシュミルズは、アイルランドでポットスチルウイスキーやグレーンウイスキーが主流だった時代から、モルトとグレーンをブレンドしたブレンデッドウイスキーを早期に取り入れたブランドとしても有名です。
多くのアイルランドの蒸留所が「ポットスチルウイスキー」を製造していた一方で、ブッシュミルズ蒸留所ではスコッチタイプのモルト原酒を造り続けてきたため、モルトとグレーンのブレンデッドウイスキーの先駆者となりました。
今回は、ブッシュミルズがリリースする10年以上熟成させたモルト原酒のみを使用した「ブッシュミルズ シングルモルト10年」をご紹介します。
ブッシュミルズ10年は、ノンピート麦芽を使用したシングルモルトウイスキーで、バーボン樽とシェリー樽で熟成されます。アイルランドウイスキーの中でも特にバランスの取れた、フルーティーでスムーズな味わいが特徴で、蜂蜜やバニラのような甘く複雑な風味が魅力です。
綺麗な琥珀色
フルーティーかつスパイシーで、軽やかな芳香。バーボン樽から来るほのかなハチミツの香り。
溶けたチョコレートの味わいが舌に心地よく絡み、口の中でハチミツの甘さや樽の香ばしさがほどよく膨らむ。
穏やかな味わいの割に、後味はキリッとしてクリーン。ドライな印象が少しずつ消えていく。
クロナキルティ・ギャレーヘッド・シングルモルト
銘柄 | CLONAKILTY(クロナキルティ) |
原産地 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種別 | シングルモルトウイスキー |
熟成樽 | バーボン樽、リトーストワイン樽、ボルドー赤ワイン樽 |
熟成年数 | ノンエイジ |
仕込み水 | クロナキルティ地方の清らかな水源 |
蒸留所 | クロナキルティ蒸留所 |
参考小売価格(税別) | オープン |
クロナキルティは、アイルランドのコーク州南部に位置するクロナキルティの町にある蒸留所で、アイリッシュ・シングルポットスチルウイスキーを製造しています。
2018年にスカリー家によって設立されたこの新興蒸留所は、2019年3月からニューメイクスピリッツの蒸留を開始しました。スカリー家はこの地で8世代にわたって農業を営んできた家族で、蒸留所で生産されるウイスキーには同家および近隣農場で栽培された大麦が使われています。
「クロナキルティ・ギャレーヘッド・シングルモルト」は、ブランドの代表的な製品のひとつで、アイルランドウイスキー特有の3回蒸留により、滑らかでフルーティーな味わいが引き立っています。
4年以上バーボン樽で熟成された原酒をボルドー赤ワイン樽とリトーストワイン樽の2種類で4~12ヶ月後熟することで、深みのある風味を実現しています。なお、ギャレーヘッドは、大西洋を望むクロナキルティの大麦畑を見守る灯台の名前に由来します。
このウイスキーは、アイルランドウイスキーらしい軽やかさと樽による複雑な風味のバランスが特徴で、特にワイン樽仕上げがもたらす深みと甘みが印象的です。
綺麗な琥珀色
最初に感じるのは、レッドベリーやドライフルーツのフルーティーな香りです。さらに、バニラやスパイス、わずかなシトラスのフレッシュさも感じられ、非常に豊かなアロマが広がります。
口に含むと、ベリー系のフルーツの甘さとキャラメル、オークの風味が滑らかに広がります。赤ワイン樽由来のほのかなタンニンも感じられ、フルーティーでありながらも深みのある味わいです。バランスが良く、優しいスパイスのアクセントもあります。
比較的長めのフィニッシュで、オークやスパイスの余韻が続き、ワイン樽由来の甘みが最後まで残ります。温かみのある、心地よい後味です。
カネマラ
銘柄 | Connemara(カネマラ) |
原産地 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種別 | シングルモルトウイスキー |
熟成樽 | バーボン樽 |
熟成年数 | ノンエイジ |
仕込み水 | クーリー山のスリーヴ・ナ・クロークに湧く軟水 |
蒸留所 | クーリー蒸留所 |
希望小売価格(税別) | 5,080円 |
ここで、アイリッシュウイスキーの中でも珍しい一本、「カネマラ」をご紹介します。
カネマラは、アイルランドでは希少なピーテッドウイスキーとして知られています。通常、アイルランドのウイスキーはピートを使わないことが一般的ですが、カネマラはその伝統に反して、スコッチウイスキーのようなピートの香りを取り入れています。
また、カネマラは2回蒸留で造られており、スコッチタイプのシングルモルトに近い特徴を持っています。製造はクーリー蒸留所が行っており、その名は美しい自然と荒々しい風景で知られるアイルランド西部のカネマラ地方に由来しています。この地域はかつてピートの採掘地でもありました。
カネマラは、4年、6年、8年熟成のバーボン樽原酒をブレンドして造られており、アイリッシュウイスキーらしいフレッシュさに加え、ピート由来のスモーキーさとバーボン樽からのバニラの甘さを兼ね備えた仕上がりです。
スモーキーな風味を楽しみたいけれど、アイラウイスキーほど強烈ではなく、ほどよく飲みやすいものをお探しの方には、カネマラはぴったりの一本です。
濃いめの琥珀色
最初にピートのスモークが立ち上がり、焚き火や燻製のような香りが強く感じられます。しかし、同時にアイルランドウイスキーらしいフルーティーな甘さやバニラ、シトラスの爽やかさも感じられ、複雑で奥深いアロマです。
ピートスモークが前面に出つつも、クリーミーなバニラやハチミツの甘さ、シトラスの酸味がバランスを取り、滑らかで飲みやすい仕上がりです。2回蒸留のため、ボディがしっかりしており、スモークと甘さが交互に現れる複雑な味わいが楽しめます。
長めのフィニッシュで、ピートのスモークと共にオークのほのかな渋みやスパイスの余韻が心地よく残ります。最後に再び甘みが顔を出し、全体的に調和の取れたフィニッシュです。
ROE&CO ブレンデッド
銘柄 | ROE&CO(ロー・アンド・コー) |
原産地 | アイルランド |
アルコール度数 | 45% |
容量 | 700ml |
種別 | ブレンデッドウイスキー |
熟成樽 | バーボン樽 |
熟成年数 | ノンエイジ |
仕込み水 | 不明 |
蒸留所 | ロー・アンド・コー蒸留所 |
希望小売価格(税別) | オープン |
「ROE&CO」は、アイルランドのカクテル文化をリードする5人のバーテンダーが監修し、バーテンダーのために作られたプレミアム・ブレンデッド・アイリッシュウイスキーです。
このチームは、カクテルに適したウイスキーを追求し、100回以上の試行錯誤を重ねた末に、現在のROE&COを完成させたと言われています。「ROE&CO」の名は、19世紀のアイリッシュウイスキー黄金期に高く評価されていた先駆者「ジョージ・ロー」への敬意を込めて名付けられました。
ROE&COブレンデッドは、カクテル向けに造られているためクセがなく、ストレートでもなめらかでフルーティな味わいが楽しめます。
おすすめの飲み方はハイボールです。カクテル用に開発され、ノンチルフィルタード製法により風味が豊かで、ソーダで割っても味が薄まらず、フルーティな風味をしっかりと感じられるウイスキーです。
明るい琥珀色
フルーティーで甘い香りが特徴で、特に熟成によるバニラやキャラメルのニュアンスが感じられます。
口当たりはスムーズで、優しいモルトの風味と軽やかなスパイスがバランスよく調和しています。フルーツの甘みや、ナッツ、トーストしたオークの風味が感じられ、複雑さを持ちながらも飲みやすい印象です。
フィニッシュはクリーミーで、心地よい余韻が残ります。甘さが控えめに続き、スパイシーさも感じられるため、飲み手に満足感を与えます。
まとめ
今回はアイリッシュウイスキーのおすすめ5選をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。アイリッシュウイスキーならではのスムースで軽やかな味わいは、初心者からウイスキー愛好者まで幅広く楽しんでいただけると思います。今回ご紹介したアイリッシュウイスキーを以下にまとめました。
画像 | 商品名 | 価格 | 種別 | 内容量 | アルコール度数 | 味わい | 熟成年数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ジェムソン スタンダード←もう一度この部分に戻る | Amazonで見る | ブレンデッド | 700ml | 40% | ナッツ、オイリー、スムーズ | ノンエイジ | |
ブッシュミルズ10年←もう一度この部分に戻る | Amazonで見る | シングルモルト | 700ml | 40% | ハチミツ、バニラ | 10年 | |
クロナキルティ・ギャレーヘッド←もう一度この部分に戻る | Amazonで見る | シングルモルト | 700ml | 40% | バニラ、チョコレート、ベリー | ノンエイジ | |
カネマラ←もう一度この部分に戻る | Amazonで見る | シングルモルト | 700ml | 40% | スモーキー、バニラ、チョコレート | ノンエイジ | |
ROE&CO←もう一度この部分に戻る | Amazonで見る | ブレンデッド | 700ml | 40% | 洋ナシ、キャラメル | ノンエイジ |
ウイスキーの選び方や楽しみ方については、他の記事でも詳しくご紹介していますので、併せてご覧いただければ嬉しいです。
それでは、よいウイスキーライフを。
希少な国産ウイスキーや世界のレアウイスキーを定価で手に入れるなら
東急クレジットカード会員限定のウイスキー抽選がおすすめです!
- 白州、響、竹鶴などの希少なジャパニーズウイスキーの抽選販売に参加可能
- スコッチやバーボンなどのレアウイスキーも抽選販売で入手可能
- 基本還元率は1%で、東急線PASMO定期券の購入や東急線の乗車で還元率3%
- PASMOにオートチャージ可能
- 2025年1月31日まで最大12,000ポイントプレゼントキャンペーン実施中
- 年会費は初年度無料。次年度以降は1,100円。
初年度は年会費無料のため、1年以内に解約する場合であれば、レアウイスキーの抽選に無料で参加し、白州や山崎の年数ものを定価で手に入れることが可能です!
さらに、2025年1月31日まで最大12,000ポイントが獲得できるキャンペーンを実施中で、非常にお得なカードとなっています!