「ハイボール」という言葉は、多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。居酒屋ではビールと並ぶ定番メニューとして親しまれていますよね。
しかし、同じ「ハイボール」でも、バーや居酒屋によってその美味しさは大きく異なります。シンプルなドリンクだからこそ、ちょっとした工夫で味に大きな差が出るのです。実際、ハイボールは作り方ひとつで、味が劇的に変わります。
今回は、元バーテンダーである私が、ハイボールの基本知識から、自宅で簡単にプロ並みのハイボールを作るコツまでを詳しく解説します!
ハイボールについて
ハイボールとは
そもそもハイボールとは何かというところから説明します。「ハイボール」とは、日本では一般的に「ウイスキーのソーダ割り」を指し、カクテルの一種です。炭酸水以外にも、ジンジャエールで割ったものは「ジンジャーハイボール」、コーラで割ったものは「コークハイボール」と呼ばれ、より手軽に楽しめるようになっています。
しかし、広義では「ハイボール」とは「スピリッツやリキュールを割ったカクテル」を意味します。例えば、ジンをトニックウォーターで割ったジントニックや、カルーアを牛乳で割ったカルーアミルクも広義ではハイボールと呼べるのです。
ハイボールの名前の由来
「ハイボール」の起源には諸説ありますが、有力な説は2つあります。
1つ目の説は、スコットランドのゴルフ場にまつわるものです。ゴルフ場のクラブハウスで当時珍しかったウイスキーのソーダ割りを試していた英国人が、マスターに「これは何という飲み物ですか」と尋ねた瞬間、高く打ち上げられたゴルフボールがクラブハウスに飛び込んできました。彼は「ハイボール(高い球)だ!」と叫んだことが由来だという説です。
2つ目の説は、19世紀アメリカの鉄道信号機にまつわるものです。当時、「ボール信号機」と呼ばれる信号機があり、長い棒の先に付いたボールが上に上がると「GO」、下がっていると「DON’T GO」を示しました。ある駅員が隣駅のボール信号機を眺めながらウイスキーを飲んでいたとき、ボールが上がる(ハイになる)と列車が来るため、ソーダで割って一気に飲み干して駅に戻ったことが由来だという説です。
日本のハイボールブーム
今ではみんな大好きな居酒屋やバーで定番となっているハイボールですが、日本のハイボールブームの到来は1950年~60年代まで遡ります。当時は度数の高いウイスキーを日本人でも飲みやすいようにしたスタイルで流行しました。当時のハイボールの度数は今よりも濃く、ウイスキーとソーダの比率も1:2.5くらいで、アルコール度数は12%程度だったそうです。この時代に2000店以上あったと言われる「トリスバー」の看板メニューは「トリスハイボール」でした。
しかし、その後、高級感があり、じっくり飲めるということで「水割り」や「ロック」などの飲み方が主流になり、ハイボールの人気はなくなってしまいます。そして、1983年をピークにハイボールどころかウイスキー市場は急激に縮小してしまいました。その主な原因は「若者のウイスキー離れ」でした。ウイスキーは他のアルコール飲料に比べて価格も高く、何より中高年が飲むものという古いイメージが若者の間で定着しており、若者を遠ざけていました。
この状況をなんとかしようと、サントリーは2008年に「角ハイボール復活プロジェクト」を立ち上げました。当時はウイスキーの氷河期で、ましてや若者には「おじさんの酒」と思われていたウイスキーをなんとか復活させたいという思いで、目を付けたのが過去の遺物となりかけていた「ハイボール」でした。
「水割り」はおじさんのイメージが定着しており、「ロック」や「ストレート」は食事と合わせづらいため若者には受け入れられませんでした。しかし、「ハイボール」であれば、1980年代あたりでほとんど飲まれなくなったため若者にマイナスイメージはなく、度数も低く、のど越しも良いため、サントリーは、これなら若者に飲んでもらえるかもしれないと考えました。
そして、サントリーは、飲みやすい度数にするためのレシピの改良や積極的なキャンペーンを行いました。その結果、2009年からハイボールブームが再び到来しました。
このようにして、「角ハイボール復活プロジェクト」が火付け役となり、現在ではほとんどの居酒屋やバーでハイボールが飲まれるようになりました。つまり、意外と今のスタイルのハイボールが飲まれ始めたのは最近の話なのです。
美味しいハイボールの作り方
それでは、自宅で簡単に作れる究極に美味しいハイボールの作り方をご紹介します。今回のレシピは、私が以前バーでハイボールを作る際に実際に行っていた方法です。
用意するものは以下の4つです。
- お好みのウイスキー
- グラス
- 氷
- マドラー
また、本格的にハイボールを作りたい方は、薄手のハイボールグラスやバースプーン、メジャーカップなどの道具を揃えると、より確実に美味しいハイボールを作ることができます。以下に、私がおすすめするバーツールを紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
STEP1:グラスに氷を入れ、ステアして(混ぜて)グラスを冷やす
まずはグラスをご用意いただき、氷をぎっしりと入れてください。この際、氷はなるべく大きいものを使うと良いです。理由は、大きい氷の方が表面積が小さくなるため、溶けにくくなるからです。
氷を入れたら、マドラーでクルクルと混ぜてグラスを冷やします。グラスが冷えたら、溶けた氷の水分は捨ててください。この時点で氷が減っていたら、再度グラスがいっぱいになるまで氷を足してください。
STEP2:お好きなウイスキーを30ml~45ml入れ、ステアする
冷えたグラスにウイスキーを30ml~45mlほど加えてください。今回は30mlで作ります。正確な量にこだわらない場合は、写真を参考に目分量で入れていただいて構いません。正確に測りたい場合はショットメジャーを購入することをおすすめします。
再びマドラーでステアして、ウイスキーを冷やします。ウイスキーを冷やす理由は、後で炭酸水を加えたときに炭酸が抜けにくくするためです。
STEP3:氷の隙間からゆっくりと炭酸水を注ぎ入れる
次に、ソーダを氷に当てないように氷と氷の隙間からゆっくりと注いでください。氷に当てて注いでしまうと、そこから氷が溶けて味が薄まり、炭酸も抜けてしまいます。
この際、美味しいハイボールの黄金比はウイスキー:ソーダが1:3~4といわれています。
STEP4:極力炭酸が抜けないようにゆっくりと下から氷を持ち上げる
ウイスキーにソーダを注ぐと、実はすでにほとんど混ざっているため、マドラーでゆっくりと軽く持ち上げるだけで十分です。
こうして、キンキンに冷えた強炭酸の美味しいハイボールの完成です。是非お試しください!
1,000円台で買えるハイボールにおすすめのウイスキー3選
ウイスキー選びに迷っている方もいると思うので、今回は実売価格1,000円台で購入できるハイボールにおすすめのウイスキーを3つご紹介します。ぜひ参考にしてください。
バランタイン ファイネスト
1つ目は、スコットランドで作られるスコッチウイスキーの「バランタイン ファイネスト」です。「バランタイン」というブランドは、あまりウイスキーを知らない方でも聞いたことがあるかもしれません。「バランタイン」は、「ジョニーウォーカー」に続いて世界で2番目に売れている伝統的なスコッチウイスキーです。
「バランタイン ファイネスト」はブレンデッドウイスキーであり、バランタインの中でも最も手に届きやすいエントリーモデルとなっています。ブレンデッドウイスキーとは、大麦から作られるモルトウイスキーと、大麦やトウモロコシ、小麦などを原料としたグレーンウイスキーをブレンドして作られる、まろやかな味わいのウイスキーです。
「バランタイン ファイネスト」はエントリーモデルにもかかわらず、約40種もの原酒がブレンドされており、クセと飲みやすさのバランスが絶妙なウイスキーに仕上がっています。
香りはバニラや蜂蜜を思わせる甘く華やかな香りや、リンゴや洋ナシのようなフルーティな香りが際立っており、味わいは甘くフルーティでとてもなめらかで飲みやすいです。爽やかなハイボールと絶妙にマッチする一本となっています。
カナディアンクラブ
2つ目は、カナダで作られるカナディアンウイスキーの「カナディアンクラブ」です。「Canadian Club」の頭文字を取って「C.C.」という愛称でも親しまれています。
このウイスキーはアメリカ禁酒法時代にアメリカ人がカナダで創業したものです。禁酒法時代、アメリカ国内で酒を扱うことは非常に困難でした。そこで創業者のハイラム・ウォーカー氏はカナダに目を付け、ウイスキーの製造を始めました。こうして誕生したのが「カナディアンクラブ」です。そのため、アメリカ人のためにアメリカ人が作ったカナディアンウイスキーという、少し不思議な背景を持っています。
「カナディアンクラブ」は、トウモロコシを主原料としたベースウイスキーと、大麦やライ麦を主原料としたフレーバリングウイスキーの2種類をブレンドして作られています。
特徴としては、キャラメルやバニラを思わせる甘い香りと、ライトで軽い飲み口が挙げられます。クセが全くなく、非常にライトで飲みやすいため、ハイボールにピッタリの一本です。特に軽くて飲みやすいハイボールを楽しみたい方には、この銘柄をおすすめします。
ブラックニッカスペシャル
最後にご紹介するのは、我らがジャパニーズウイスキーのニッカブランドから出されている「ブラックニッカ スペシャル」です。
ニッカは北海道の余市と宮城県の宮城峡に2つの蒸留所を保有していますが、「ブラックニッカ スペシャル」は、余市と宮城峡のシェリー樽原酒、そして余市と宮城峡のカフェグレーン原酒をブレンドして作られたウイスキーです。
このウイスキーは、宮城峡のリンゴのようなフルーティさと余市のスモーキーさがバランスよくブレンドされているのが特徴です。甘さもありつつも少しスモーキーなハイボールを楽しみたい方には、特におすすめです。また、通常のウイスキーの内容量が700mlであるのに対し、「ブラックニッカ スペシャル」は720mlとなっており、少しお得になっているのも嬉しい点です。このクオリティでこの価格を実現できるのは、ニッカのブレンド技術の賜物だと思います。
また、ニッカにはエントリーモデルとして「ブラックニッカ クリア」がありますが、こちらの「ブラックニッカ スペシャル」を選ぶことを強くおすすめします。少しお金を上乗せするだけで、味わいの濃厚さやバランスの良さが全く違います。
まとめ
今回はハイボールとは何か、そして美味しいハイボールの作り方についてご紹介しました。
ハイボールは現在では日本独自の文化のように浸透していますが、実は海外からきたものです。ハイボールの名前の由来には諸説ありますが、どちらも知っているだけで面白い豆知識になると思います。
日本でのハイボールブームの背景には、サントリーの「角ハイボール復活プロジェクト」があります。このプロジェクトが大成功を収めたことで、現在のハイボール人気があると言えます。
美味しいハイボールの作り方についても少しの工夫で、自宅でもバーと同じレベルのハイボールを楽しむことができますので、ぜひお試しください。
ハイボールづくりにこだわりたい方のために、私がおすすめするハイボールグラス、バースプーン、メジャーカップを以下に載せました。興味があればぜひご覧ください。
みなさんのハイボールライフがより良いものになることを願っています。
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